懲戒解雇と適正手続き
2014-03-02
懲戒解雇の手続きについて教えて下さい。
懲戒解雇は刑事罰に類するものとして、適正手続きの要請が妥当すると言われています。
具体的には、非違行為を行った労働者の言い分を聞いて、主張反論の機会を与えることが必要と言われています。
これを適正手続きといいます。
適正手続が問題となるのは、就業規則の定めがない場合に、会社側が主張する懲戒事由が何かの説明をまったくせず、かつ当該懲戒事由についての言い分を聞くことなく(つまり、告知と聴聞の手続を全然とることなく)争われる事例です。
上記のように、適正手続きが原則的に必要とはいいましても、下級審の裁判例を見ると、就業規則中に弁明を聞く手続を定めた規定がなかったことから、弁明を聞く機会を与えなくても、懲戒解雇は違法にならないとしたもの、
事前調査の段階で、弁明を言おうとすれば可能であったとして解雇を有効としたもの、
非違行為が重大かつ明白で、弁明を聞いたとしても処分内容に影響があったとは認められないとしたもの、
行為は明らかで原告が弁明をしようとしていた内容は使用者も認識しており、処分も3日間の停職で軽微であることを理由として懲戒処分の効力を維持したものというように、手続違背のみを理由とする懲戒解雇権の濫用を認めない裁判例の方が圧倒的多数です。
賛否両輪があるところではありますが、私見としては、このような裁判例は前記適正手続きを要請する趣旨を没却するものであり、賛成出来ないと言わざるを得ないでしょう。
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